お子さまを虫歯から守るために
知っておきたい知識・身に付けておきたい生活習慣
お子さまを虫歯から守るために最も大切なのは、食生活と口腔内ケアです。
食生活で気を付けていただきたいのは、甘いものの食べ過ぎと食事の時間。甘いお菓子ばかり食べる・好き嫌いをする・食事の時間が毎日不規則・ダラダラと時間をかけて食べるなどはやめましょう。体全体の健康のためにもバランスの良い食事を心がけ、旬の野菜から栄養を摂取するようにしてください。
子どもは甘いものが好きですが、虫歯を防ぐためには、なるべく甘いものを避ける方向に持っていかれることをおすすめします。特にキャラメル・飴など、口の中に長く留まるものは虫歯のリスクが高まるので、食べないに越したことはありません。最近は、砂糖を使っていないお菓子やキシリトール配合のものなどもありますので、どうしてもという場合は、そういうものを活用すると良いでしょう。
虫歯になった場合、虫歯自体は処置をして一時的に治すことができます。しかし、虫歯になりやすい生活習慣、とりわけ食習慣を改めない限り、また虫歯になってしまいます。普段から虫歯にならないような習慣を身に付けておくことが大切です。
口腔内ケアの基本は歯磨きです。歯磨きがしっかりできているかいないかで、当然虫歯になるリスクは変わります。また、お子さまの口腔内ケアには保護者の関わりも大切です。大人が注意深く意識を向けているか、仕上げ磨きがきちんとできているかで、お子さまの口腔環境は違ってきますので、大人が責任を持って見てあげるようにしてください。仕上げ磨きは、小学校高学年まではしてあげるのが良いでしょう。
お子さまが虫歯や歯肉炎になる原因は、実は「歯を磨かない」だけでなく、「鼻呼吸ができない」こともあげられます。お口の中が汚いお子さまは、きれいにすれば治ります。しかし、鼻で呼吸ができないお子さまは、お口の中の環境が常に良くない状況になるので、虫歯や歯肉炎が悪化しやすくなります。鼻や耳によくトラブルを起こすお子さまは要注意です。
虫歯を放置するリスク
虫歯は自然治癒しません。放っておけば遅かれ早かれ進行していきます。進行すると痛みなどの症状が現れますが、虫歯は痛みを感じたときにはかなり深刻な状況になっていて、苦痛をともないますし、治療するのも大変になります。また、痛いとしっかり咬むことができず、食べることにも支障をきたします。成長期のお子さまが食事をきちんと摂れないのは、体全体の健康に良くありません。
虫歯は、痛みなどの症状が出るまでは、気付きにくいものです。日頃から保護者がしっかりとお子さまのお口の中を観察して、管理してあげることが重要になります。少しでも異常を感じたら、早めに歯科医院を受診するようにしてください。
食べるのが遅いお子さまは、もしかすると虫歯が原因かもしれません。そうした可能性も考えつつ、お子さまのお口を見るようにしてあげましょう。
かかりつけ歯科について
歯科医院での定期検診を受けましょう
歯科において、かかりつけ医院を持つということは、定期検診に通うということです。虫歯になってから治療に行くのではなく、虫歯にならないための予防策として歯科医を利用していただくことをおすすめします。
歯科医院で定期検診を受けている方は、お口の中を良い状態に保つことができます。予防の意識が高まるので虫歯になりにくいです。また、たとえ虫歯になってしまったとしても、早期発見ができ、処置も簡単で済みます。歯並びについても、保護者の方が気付いていない変化を見つけられたり、矯正治療に最適な時期を逃さずに提案できたりします。最近は顎が小さく、歯並びが悪いお子さまが多いのですが、小さいうちから定期検診に通っていただければ、成長を利用した子どもの時期にしかできない治療で、早めに治療することが可能になります。痛いときだけ歯医者にかかる方は、予防への意識が低く、口腔環境が悪循環に陥ることも多いです。
学校や幼稚園などでも集団の歯科検診はおこなわれています。当然、検診医もなるべく見落としのないように診ています。しかし、短時間で多数の検診をしなくてはならなかったり、照明などの設備が整っていなかったりする状況の中では、歯科医院での検診と同じクオリティを保つのは難しい部分もあります。
学校検診の目的は、あくまでスクリーニングです。それだけを頼りにするのではなく、かかりつけの歯科医院を持って、定期的に検診を受けるのが、歯を健康に保つためには効果的と言えます。
お子さまの歯の状態は、保護者の関心の問題
最近のお子さまは、お口の中の状態が両極端です。きれいなお子さまはすごくきれいですが、お手入れが行き届いていないお子さまは、たくさんのトラブルを抱えています。お口の中のお手入れは、お子さまが自分でするには難しい部分もあります。何より、深刻な症状が出る前に大人がケアしてあげられるかが、大きな差となります。お子さまの歯の健康は、大人の関心の問題なのです。
年齢別 陥りがちな歯のトラブルとその処置
0~3歳
乳歯が生えてきて、乳歯の歯並びが完成するのが3歳までの時期です。この時期はまだ、虫歯になることはほぼありません。逆に言えば、この時期に虫歯になるお子さまは、生活習慣に何か大きな問題があることになります。甘いものを食べ過ぎていませんか?哺乳瓶で清涼飲料水を飲んでいませんか?心当たりのある食習慣があれば、改善するようにしましょう。
3~6歳
3歳頃から虫歯になるお子さまが増えてきます。虫歯になってしまったら、早めに処置をするようにしましょう。6歳頃は永久歯に生え変わる時期でもあります。生え変わりたての6歳臼歯は虫歯になりやすいです。生えたての歯の磨き方などもありますので、生え変わりの時期には特に歯科医院で検診を受け、お手入れ方法を学ぶことをおすすめします。
3~6歳は、歯並びにとっても重要な時期です。通常、乳歯列はすき間があいていないといけません。しかし、最近は顎が小さいためにギッチリと歯が詰まっていたり、乳歯ですでに歯並びがガタガタしていたりするお子さまが増えています。咬み合わせが深いお子さまも散見します。
乳歯での歯並びや咬み合わせに問題がある場合、永久歯もきれいには並びません。この時期は矯正治療をするにはまだ少し早いですが、指しゃぶりや爪を咬むなどの癖を取り除いたり、しっかりと咬んで食べる習慣を身に付けたりといったことは、取り組んでおかなければなりません。
6~12歳
永久歯がどんどん生える時期です。うまく生え変わらない場合は、処置により誘導することも必要になります。通常は乳歯が自然に抜けるのですが、うまく抜けない場合は歯科医院で抜くこともひとつの方法です。乳歯から永久歯への生え変わりは、通常12歳くらいまでに完了します。生え変わり途中は、そのステージにおいての磨き方があります。生えたての歯は虫歯になりやすいので注意が必要です。
歯をケガしたときの応急処置
お子さまが成長するにつれて、遊びやスポーツ活動の中で、歯をケガするケースも出てきます。
歯が折れたり抜けたりした場合は、こすったり洗ったりしないようにしてください。一番良いのは、薬局などで売られている保存液の中に入れて、歯科医院に持っていくことです。保存液が手に入らない場合、身近な代用品として用意していただきやすいのは牛乳です。牛乳の中に浸けて、なるべく早く歯科医院を受診するようにしましょう。脱臼などの場合は、ケガをしてからの経過時間も治療の成果に関わってきます。ケガをしたらなるべく早く受診するようにしましょう。
当院では、緊急の場合は休診日でも対応させていただくことがありますので、一度ご連絡ください。
サリバリーマルチテスト(SMT)
唾液検査で一人ひとりに適切な予防法
虫歯や歯周病のリスクは、歯や唾液の質、細菌の種類・量などによって変わってきます.
お口の中を見るだけではわからないため、「サリバリーマルチテスト」というキットを使った唾液検査を行います。
唾液検査によってお子さまのお口の状態をより正確に把握し、一人ひとりに合った予防指導を行います。
また、継続的な予防のためには、お子さまがご自身のお口の状態を知ることが重要だと考え、検査結果は保護者の方にも、
お渡ししています。お口の健康状態を、グラフのようなチャート図でご説明をしております。